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VDP創立メンバーの、古くて新しいワイナリー
■偉大な功労者、レオポルト・フォン・ウィニング氏
1907年に継承されたワイナリーは、夫レオポルト・フォン・ウィニング氏の情熱に支えられ、クオリティは次のレベルへと昇華。レオポルト・フォン・ウィニング氏は、900年前に皇帝から称号を与えられた貴族の流れを汲む人物ですが、ワイン造りに大変な情熱を注ぎ、現在のドイツ優良生産者組合「VDP」設立の功労者にもなります(VDPの前身にあたる「Deutscher Weinbauverband」の設立者でもある)。「フォン・ウィニング」の名前はそのまま優れた品質を表すようになります。大戦後の1918年、売却されたワイナリーはフォン・ウィニングの名を使用することが許されず、その名称を元の設立者の名であるダインハードに戻し、「Dr.ダインハード醸造所」に改めました。
■21世紀、輝きを取り戻す「フォン・ウィニング」!
「フォン・ウィニング」の名を冠した現在のワイナリーは、こうした複雑な相続と売却の背景を持つ銘醸ワイナリーに再び命を吹き込むプロジェクトとして、2007年に起業家の【アヒム・ニーダーベルガー氏】の手により誕生!ニーダーベルガー氏は分割でバラバラになってしまっていたダイデスハイムの銘醸ジョルダン・エステイト(いわゆるJordan'sche Teilung)を構成していた3つの醸造所、「Bassermann-Jordan醸造所」、「Von Buhl醸造所」、さらに「ダインハード醸造所」を5年の歳月をかけて買い取ります。これら3つのエステイトは独立して運営されていますが、フォン・ウィニング家の流れをくむダインハード醸造所は、ニーダーベルガー氏が同家とと非常に親しい関係にあったことから、再び「ヴァイングート・フォン・ウィニング」として蘇り、最高責任者にステファン・アトマン氏を迎え入れることで新たな一歩を踏み出しました。
真のワイン・ラバー
■最高醸造責任者ステファン・アトマン氏
ワイナリーの方針やワインのスタイルを決定するなど、まさにワイナリーの顔といえるのが最高責任者のステファン・アトマン氏。そんな彼の経歴は非常にユニークです。大学ではもともと化学と生物学を学んでいましたが(そしてそれらの学問が非常に合っていたにも関わらず!)、その後すぐにビジネス、政治、教育学に方向転換。そしてマンハイムで一番のワインショップでアルバイドをするうちに完全にワインの虜になってしまい、大学卒業後はバーデン地方のドクター・ヘーガーで見習いとしてブドウ栽培と醸造に携わりました。2005年にはブルゴーニュに移り、天才醸造家として有名なドメーヌ・ダヴィド・デュバンの下で経験を積み、やがてザール地方のドクター・ジーメンスの責任者として迎えられます。
<2007年の出会い>
そしてアトマン氏の方向を決定づけたのが、2007年、ヴァイングート・フォン・ウィニングの新たなオーナー、ニーダーベルガー氏との出会いです。かつて名声を誇ったこのワイナリーを見てアトマン氏は「伝統をもう一度蘇らせよう!」と思います。オーナーのバックアップに支えられ、ブドウ栽培や収穫、醸造、全てのことに手を加えていきました。これらの姿勢が認められ、「ドイツで最も注目すべきワイナリー」として、フォン・ウィニング醸造所は絶大な支持を集めています。
■醸造責任者アンドレアス氏
最高醸造責任者としてワイナリーの一切を取り仕切るアトマン氏の頼りがいのある右腕が若き醸造責任者アンドレアス氏。醸造学を修めた後、ドイツ国内のみならずイタリアなど海外でも経験を積み、2010年からフォン・ウィニングに参加。非常に意志が強く繊細な感性の持ち主で畑から醸造までの全てにおいてワインへの誇りと愛情が溢れています。
大量生産とは一線を画す、土地の個性を表現したワイン
「私たちの目標は完全な状態で品種、テロワール、土地(ファルツ)、そしてフォン・ウィニングというワイナリーの個性を表現すること。それはつまり、グラスに注いだ瞬間から楽しんでいただけるワインです」
テロワールを重視する姿勢は、「自然を尊重しできるだけ寄り添って働く」、というレオポルト・フォン・ウィニング氏の信念に由来します。レオポルトが残した遺産は、今も変わることなく、ワイナリーに受け継がれ、ステファン・アトマン氏の指揮のもと、若く高いモチベーションを持ったチームの品質への追求と、オーナーの資金投資により、フォン・ウィニングは高品質ドイツワインの担い手であり続けています。約10haのグローセス・ゲヴェックス(=仏のグラン・クリュに相当)を含む畑は環境に配慮したきめ細かな手入れが行き届いており、アロマ豊かで完璧なブドウを収穫することができます。プレミアムワイン造りの鍵は、天然酵母醗酵や自然の清澄作用を促した方法を採用することで、「人間の介入をできるだけ最小限にとどめる」こと。それにより土地の個性を表現する、エレガントなワインを生み出します。
偉大なワインは畑で造られる
畑では環境に配慮した栽培を心がけ、ビオデナミとサステーナブル農法を実践。また完熟した100%健康なブドウを収穫するために、手摘みのチームを従来の8倍に増やしました。約10haのグローセス・ゲヴェックス(=フランスのグラン・クリュに相当)を含む畑は自社畑45haのうち、80%は主要品種であるリースリング種を栽培。その他ピノ・ブラン、ピノ・グリ、シャルドネ、ゲヴュルツトラミネール、グラウア・ブルグンダー等、黒ブドウではピノ・ノワールも栽培。2008年からはソーヴィニヨン・ブランも仲間入りしましたが、この品種は土壌(砂質や砂利土壌)を選び、十分な手入れがあって初めて可能となる、この土地では難しい品種の一つです。
■健康なブドウ ?偉大なワインは畑で作られる?
「偉大なワインは畑で作られる」という信念のもと、栽培責任者ヨアヒム・ヤレイ氏率いる才能豊かなチームはエネルギーに溢れ、勤勉で、畑の潜在能力を最大限に引き出すための革新的努力を惜しみません。ワイナリーでは一部、契約畑のブドウも使用していますが、その管理もヤレイ氏が責任をもって行っています。ほとんどの契約畑は自社畑の近くにあり、彼らはもともとワイナリーで見習いをしていた人たちなので、同じ哲学を共有することができるのです。
「土地の力を信じ、生態系を脅かすことなく、むしろサポートする」。
これが彼らが畑に向き合う姿勢で。合成肥料や除草剤は一切使用しない自然を尊重した農法を採用していますが、有機栽培の認証には関心がありません。それはワイナリーの方針の一つに、畑でもセラーでも銅を使わないという信念があるからです。例えば、有機栽培の認証を取ってしまうと、灰色カビ病が発生した場合に、銅で対抗するしか手段がなくなります。しかし、銅は土壌に蓄積され土壌の微生物にとって有害になります。銅はまた、ワイン特有のアロマ、火打石のような香りや良い意味での還元香を破壊してしまい、土地の個性を表現することができません。
■高株密度栽培
ブルゴーニュ地方によく見られる高株密度栽培を利用した畑をつくりました。平均的な5,000本/haよりさらに多い9,500本/haを植え、ブドウの木の競争を促し自然に収穫量を調整。今後、全てのプレミアムワインクラスの畑では、この方法を採用していきます。ブドウの木が地中深くまで根を下ろすことにより、果実、またその果実からできるワインがテロワールを表現するだけでなく、夏の熱波や多雨にも耐えられる強さを与えてくれます。また十分な水分が行き渡るため、様々な花が咲き、生態系を支える昆虫の住処となっており畑は多様性に富んでいます。入念な手入れにより、生態系への理解、自然の力、そしてチームの品質に対する飽くなき探求心により、最高のブドウを栽培しています。
ワインの純粋な魅力を引き出す最小限の介入
ファルツの偉大な醸造家、ハンス・ギュンター・シュヴァルツ氏がかつて「偉大なワインには完璧なブドウとセラーにおける適度な ”放任” が必要である」、と話したようにワイナリーでは“ワインの構造を一切変えないための細心の注意と最小の介入”を理念に掲げ、醸造に携わります。「伝統的な醸造方法と最新のセラーの融合」こそが、ワイナリーの目標なのです。例えば、ブドウの重みで自然に圧搾をする、重力を利用した構造を持つセラー内、適量の自然酵母を利用した自発的な醗酵など、セラー内における醸造過程は一貫して「最小の干渉」の理念のもと瓶詰めまで運ばれています。セラーでの作業は品質向上を常に求めるワイン造りの、”終わりなき旅”なのです。
二つのブランド
ワインのスタイルによってブランドは分かれていますが、畑には違いがありません。「ワインに介入し過ぎることで本来内に秘めた魅力を壊さない」という醸造方針も同じです。
■ドクター・ダインハード
バランスの良さとエレガンス、完熟した果実味とキレイな酸を求めた、品種の魅力を楽しむミッテルハールトのクラシックなスタイルを踏襲。バランスの良さと完熟した果実味、洗練された酸のあるシャキっとしてフレッシュでフルーティなワイン。白ワインはステンレスタンクで醸造、 赤ワインは 1200Lの古い大樽で醸造し、フォン・ウィニングより熟成は短くフルーティさを重視。
■フォン・ウィニング
一部であってもオーク樽醗酵、オーク樽熟成させた野心的かつ洗練されたスタイルで、品種よりもテロワールを反映することをより重視するシリーズ(※)。収量を低く、畑で非常に精緻なブドウの選別を行い、欠点のない完全に健康なブドウを使用。オーク樽は300Lから2400Lまで様々なサイズを使用。ハーブを思わせる香り、複雑さと骨格がありフォン・ウィニングの名を使うに値する輝くような魅力を放つワイン。
※一部、例外的にステンレスタンクを使用。