前作大傑作”Red Rose Speedway”が再び大ヒットを記録。 されど当初の二枚組企画がレコード会社の都合で破棄された事で名手Henry McCulloughが望んだロック系楽曲が外される事になり、 更に作品がメロウに成り過ぎた事や創作貢献の範囲が狭すぎる事で名手Henry McCulloughが深刻な不満を抱える事となります。 不穏な空気を抱えつつも作品リリース後はツアーに勤しみ、大好評を得る事となります。
ツアー末期、かの”The Rolling Stones”がジャマイカでの録音制作を行った事やバカンスを兼ねた気分転換も有り、ナイジェリア・ラゴスで次作制作スケジュールを決定。 (当時は軍事政権下で政情不安でございましたが............................) また、前作”Red Rose Speedway”制作末期に映画サントラ制作に勤しんでいた名プロデューサー故George Martin卿から依頼を受け、Paul McCartneyはThe Beatles以来の故George Martin卿との録音制作を行っており、 その映画 ”007”用 主題歌 ”Live and Let Die” が7月にリリース、 大ヒットを記録する事に。
本国旧リマスターでございます。
非常に良心的ではございますがノイズ処理等が為されているもので、幾分リミックス感がございます。
現在ではこのPaul McCartney作品群最新リマスターがリリースされておりますが、作品によってはデータの音飛びが指摘されております。
ファンを中心として指摘が為され、改善が
求められておりますが、レーベル側は「これが正規」の一点張り。
(The Beatles某作品も同じ...................)
何をか言わんや、でございます.........................................
ラインナップは多重録音重視編成。
Paul McCartney(Vo、B、G、Key、Ds、Per、ex-The Beatles
)、故Linda McCartney(B-vo、Key、Per)、
Denny Lane(G、Vo、Per、ex-Moody Blues)
となります。
ゲスト参加ではございますが.............
ラゴス録音時:何と!名手故Ginger Baker(Per、ex-The Graham Bond Organization、Cream、Blind Faith、Ginger Baker's Airforce、Master of Realityセッション他)、
Remi Kabaka(Per、ex-Ginger Baker's Airforce、Traffic他)。
英国制作時:Howie Casey(Sax)及び
ホーン隊及びバックコーラス、
また、かのTony Visconti(オーケストラ・アレンジ、故David Bowie/T-REX/Thin Lizzy他プロデュース)の参加がございます。
プロデュースはPaul McCartney自身。エンジニアはかのGeoff Emerick(後にRobin Trower等手掛ける)
となります。
1973年8
月~9月下旬ナイジェリア・ラゴス”EMI Studios”、”(名手故Ginger Baker当時所有の)ARC Studios”。
(基本録音制作。後者は一曲のみ)
9月下旬~10月英国ロンドン毎度御馴染み”Air Studios”(かの故George Martin卿所有)、”Kingsway Recorders”(後にかのIan Gillan所有)
となります。
(オーヴァーダビング及び音調整、ミキシング等)
前作大傑作”Red Rose Speedway”が再び大ヒットを記録。
されど当初の二枚組企画がレコード会社の都合で破棄された事で名手Henry McCulloughが望んだロック系楽曲が外される事になり、
更に作品がメロウに成り過ぎた事や創作貢献の範囲が狭すぎる事で名手Henry McCulloughが深刻な不満を抱える事となります。
不穏な空気を抱えつつも作品リリース後はツアーに勤しみ、大好評を得る事となります。
ツアー末期、かの”The Rolling Stones”がジャマイカでの録音制作を行った事やバカンスを兼ねた気分転換も有り、ナイジェリア・ラゴスで次作制作スケジュールを決定。
(当時は軍事政権下で政情不安でございましたが............................)
また、前作”Red Rose Speedway”制作末期に映画サントラ制作に勤しんでいた名プロデューサー故George Martin卿から依頼を受け、Paul McCartneyはThe Beatles以来の故George Martin卿との録音制作を行っており、
その映画
”007”用
主題歌
”Live and Let Die”
が7月にリリース、
大ヒットを記録する事に。
バンド活動は一見順調に見える事となります。
されど、深刻な不満を抱えた上に貢献に対しての報酬が少なくそして明確でない事が引き金となり、
1973年英国ツアー終了直後に名手故Henry McCullough、それに続きDenny Seiwellがあっけなく脱退。
スケジュール変更や新メンバー加入を目論むものの時間的に不可となっており、残る三名にて制作に乗り出す事となります...........................
制作を始めてみれば、(”EMI”所有のスタジオとは言えど)
余りにも貧相な録音設備というもの。
呆れ返りながらも制作を進めるも、外出先でのトラブルに巻き込まれる、Paul McCartney自身の過剰喫煙による健康問題発生、
そして更には「アフリカ音楽文化の略奪」との非難を受け、
地元反体制ミュージシャン”Fela Kuti”(Afro Beatの創始者)等がスタジオに押し掛ける始末。
(Paul McCartney自身は彼らに録音を聴かせ、誤解を解いた模様...............................)
当時ラゴス在住の名手故Ginger Bakerが見るに見兼ねて自身所有のスタジオ提供を申し出るものの、
一曲のみ録音。
(ビジネス的な下心もあった感がございますが..............................)
基礎録音を終え、這う這うの体で英国に戻り、録音テープを基に手慣れた”Air Studios”等でオーヴァーダビング/音調整/ミキシング等を行い、完成に至る...............という面倒な経緯がございます................................................
さて今作。
当初は二枚組制作企画であった前作”Red Rose Speedway”。
レコード会社の反対で単独作となり楽曲を絞った
ものの、更なる
レコード会社の要望でロック系楽曲が外された感。
質は高いものの非常にメロウな感覚が強くなり、名手Henry McCullough
の深刻な不満を引き起こし
離脱・
ラインナップ崩壊の元凶となった事を反省した感のある音楽性でございます。
(名手故Henry McCullough在籍時末期にそれを強く考慮し創作を行っていた感がございますが......................................)
そもそも”Wings”はPaul McCartneyの音楽性体現の為のバンド。
Paul McCartney単体ではドラム/ギター演奏では技術的な問題があり、その解決や他ミュージシャンからの音楽的なインプットを欲した事を窺える感の有るものでございます。
如何にPaul McCartney自身の音楽性をバンド形式で発展させるか?が窺えるものでございます。
(この矛盾めいた感覚がメンバー交代に繋がる感も..........................)
今作はコンセプト作とも言われますが、当のPaul McCartneyはそれを否定。
但し、「逃避と自由」という共通するテーマがそれぞれ楽曲には存在する模様(それをコンセプトとも言いますが.........................)。
楽曲はメロディ重視でポピュラー感が強く非常に質の高いものでございますが、(前作の反省に立ち)ロック的な躍動感を重視した感。
されど制作環境があり、Paul McCartney自身の多重録音作1st”McCartney”に通じる案外趣味性が高いもので非常に凝ったもの。
正直一般的なものではない事がミソでございます。
また異色の多重録音重視編成ではございますが、案外バンド感があるもの。次作以降の作品制作含めたバンド活動を見越した感がございます。
当時は英国古典派アート・ロックの全盛期。
Paul McCartneyの音楽的興味を強く惹いていた
感があり、
それに繋がる音楽性の
楽曲
が
存在している事が非常に興味深い所でございます。
案外人を選ぶ感覚がある音楽性でございます。
また注目はPaul McCartneyのドラミング。
かの1stソロ”McCartney”でマルチプレーヤーとして作品制作を行った経験が生かされている感がございます。
そもそも
Paul McCartney自身は単独で良い楽曲が創作出来るだけでなく、プロデューサーとして多角的に楽曲や演奏を検証し鑑みる事が出来るというミュージシャン。
正直専任ドラマーに比べれば甘い演奏ではございますが、上記から来るセンスの良さが感じられるものでございます。
事実、かの”The Who”の破天荒名手故Keith Moonが「誰が叩いてるのか?」と訊ねてきた程でございます.........................
(この名手故Keith Moon。
破天荒系の演奏ではございますが、後に名声を成すジャズ/フュージョン系名手Dave Wackl(Michel Camilo、Chick Corea Elektric Band/Acoustic Band、Bill Connors等)等に影響を与えたと言われます。
またPaul McCartney元同僚名手Ringo Starr御子息で現在シーン屈指と言われる名手Zakk Starkey(現The Who、ex-Moody/Marsden Band他。
かの”In Cahoots”名ドラマーも称賛
)に技術指導を行った方でもございます。
何をか言わんや、でございます.......................................)
”The Beatles”人気が強く残っていた当時とは言えど、如何に当時の聴衆が鋭いものを求めていたか?が理解出来る作品でございます.......
リリース後は以前を上回る大ヒットを記録。
バンド活動を見越し、新たにオーディション選考を行いJimmy McCullockを加入させ、名手Gerry Conway(ex-Fairport Convention、Rupert Hineセッション他)と助っ人に迎え、Paul McCartney実弟Mike McGearの新作制作に参加。
手応えを得る事となります。
その後オーディション選考でGeoff Brittonを獲得。
米国ニューオーリンズでの新作制作を計画するも、1974年11月手慣れた”Air Studios”にて録音制作を開始する事となります..................
さてボーナス楽曲。
今作では英国リリース仕様を基としている事がミソ。
英国オリジナル・リリース時には本編から外された楽曲でシングルリリースされた”Helen Wheel”/”Country Dreamer”となります。
(米国では配給レコード会社担当が前者収録を強く要望。米国仕様には収録となります)
前者は本編収録からそもそも外された事で、ラフ・ミックスの感がございます。
されど躍動感あるロック系楽曲で中々のもの。
当時は英国アート/ロック全盛期。
かのUriah Heep等英国HR/HM系の影響が窺えるもので、非常に興味深いものがございます。
シングルのみではございますが、英米で大ヒットというもの。
米国配給担当の狙いが非常に正しかったことが窺えるものでございます(売上を睨んで、という事ではございますが........................)
また、B面”Country Dreamer”がミソ。
かの大傑作”Red Rose Speedway”制作時の1972年10月
録音
で、名手故Henry McCullough在籍時のラインナップとなります。
そもそも二枚組制作を目指していたもののレコード会社の強硬な反対に遭い、止むを得ず断念という”Red Rose Speedway”。
名手故Henry McCulloghが重視していた楽曲が外された事でPaul McCartneyとの確執を生み、後々の脱退に繋がる事となりましたが、
その楽曲の一つの模様。
McCartney夫妻名義の作曲でございますが、故Henry McCullogh色が出ているものでアレンジでの大きな貢献が窺えるもの。
非常に興味深いものがございます........................................
この機会に是非。