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内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い、Dave Meniketti(Vo、G)、故Joey Alves(G、B-vo)、故Phil Kennemore(B、Taurus Pedals、B-vo)、故Leonard Haze(Ds、Per、後々に新生Gillanに参加)となります。
プロデュースは故Chris Tsangaridesとなります。
(そもそもはJudas Priest初期の大傑作”Sad Wings of Destiny”でのアシスタント・エンジニアを務め、制作途中からプロデューサー急病により後任昇格した事からプロデューサー業も兼任。
Brand X等の録音エンジニアを務め、その後は故Gary Mooreの大傑作”Back on the Streets”等をプロデューサーとして手掛ける。
NWOBHM時にMagnum傑作ライヴ盤”Marauder”のミキシングやGary Moore幻の傑作”Live at the Marquee””Dirty Fingers”を手掛けメタル分野で頭角を現し、
Tygers of PangTang、Thin Lizzy、Anvil、Judas Priest、
Yngwie J.Malmsteen、Anthem等手掛ける)
七十年代中期に米国カリフォルニア州ヘイワードで”Yesterday Today”として結成(名手Leonard Haze含むトリオにDave Menikettiが加わる形によるもの)。
サンフランシスコ付近という事もありそのシーンに活動拠点を置き、紆余曲折を経て全盛期ラインナップが完成。
英国系レーベルに見いだされ二作を制作するものの鳴かず飛ばずで契約解除の憂き目に。されど根強い人気があり活動を継続。
バンド名をシンプルに”YT”と改め、音楽性は良いものの散漫気味で纏まりが弱かった音楽性を洗練させた事が実を結び、かの”AM”(名トランぺッターHarb Alpert所有のレーベル)と契約。
”Yesterday and Today”時代はかのU.F.O.等を彷彿とさせる英国寄りの音楽性や演奏は良かったものの正直未整理。
また素人臭さがあり、素材は良く演奏力や安定度はあれど垢抜けない印象が.............という感がございましたが、”London Records”契約解除後に音楽性を整理。
時代は七十年代後期、ジャンルを超え八十年代と言う新しい時代に向けてバンドやミュージシャンが新たな音楽性を指向する時期。
武骨さやハードさ、豪快さが売りで演奏面のテクニカルさを持つ
音楽性ではあったものの、素人臭さが感じられた音楽性や演奏・アンサンブルに手を加え、
メロディアス重視で
演奏・アンサンブル含め洗練・整理された(
その
メロディアスさを基として音楽的器用さが伺える)
音楽性を新たに指向した感がございます。
(再デビュー作”Earthshaker”でプロデューサーの作曲参加が見られる事があり、外部の観点から客観的なコンパクト化が更に成された感もございます......................................................)
安普請制作だったものの再デビュー作”Earthshaker”の成功でそれなりの制作予算が組まれる事となり、新たに指向したこのコンパクトな音楽性にバンドは自信を深め、
当時話題であったOzzy Osbourneのカムバック作で名を博したMax Normanをプロデュースに迎え似た制作環境で次作大傑作”Black Tiger”制作に取り組む事となります。
リリース後は前作を上回る好評さで母国米国でも(高くはございませんが)チャートイン。
NWOBHMに沸いた英国では前作に引き続き大好評、ツアーも好評。
(日本公演では一部台風一過下の公演になるも
このバンドのファンらしく力強い反応を得た事も含め)
バンドは自信を深めていきます。
バンドの支持が篤かった英国NWOBHMシーンでプロデューサー独立し頭角を現したChris Tsangaridesを迎え、新作制作に乗り出す事となります.............................................
さて今作。
前作にて音質を含めた音楽性の洗練化を図った事を実績として今作はバンドの持つメロディアスさを基として、ハードでありながらも小回りの利く音楽性の器用さを打ち出した感がございます。
”Earthshaker””Black Tiger”二作での豪快さは受け継ぎつつも非常に纏まりのある音楽性を指向した感があり、ハードでへヴィでありながらも案外洗練された音楽性となっております。
また台風一過下の東京公演での強烈な印象を認めた楽曲も収められております.....................................
音楽性の中心たる名手Dave Menikettiの以前同様でプロらしいヴォーカルや演奏に注目が当たりますが、同郷の名手Sammy Hagarを意識した感のある存在感強く力強いヴォーカルがミソ。
但し、スタイルが安定し力の抜き方を覚えた感があり、表現力の幅が更に広がった感がございます。
元々ギターヒーロー感のあるDave Menikettiではございますが、より八十年代に合わせた演奏スタイルもミソ。
かの名バンドMontroseやSammy HagarがNWOBHM下の英国で人気を博していた事(前者はかのIron Maidenがカバー)があり、英国での人気が伺えるものでございます。
名手故Leonard Hazeにも注目。
名手ではあるもののどちらかと言えば昔気質の演奏感のある故Leonard Hazeではございますが、”Yesterday and Today”時代の細かい演奏面を既に整理。
”Yesterday and Today”時代の手数の多い演奏は鳴りを潜めているものの、かの名手故John Bonham(Led Zeppelin)や名手Ian Paice(現Deep Purple、Paice,Ashton Lord、Whitesnake、Gary Moore)を融合した演奏スタイルは健在。
(かの忘れ形見名手Jason Bonhamと共通する感もございますが............................................)
但し、今作ではバンドが
音楽性の器用さ・応用性を意識した事からリズム面の起用さを生かす感があり、リズムを含めた器用さが感じられるもの。
YT再デビュー後では一番のテクニカルさが感じられる感がございます...........................
その演奏の有り方が楽曲のみならず他の演奏にも影響を与えている事はかの名手Lee Kerslake(Uriah Heep、Ozzy Osbourne Band)と共通しており、作曲者としてクレジットされている事が理解出来るものでございます。
(故Leonard Haze脱退以後のYTには興味が持てないファンも多い事が頷けるものでございます)
故Joey Alvesの堅実且つDave Menikettiを上手く引き立てる演奏にも注目が当たりますが、珍しいツインリード演奏が登場という聴きものも...........................
故Leonard Hazeと屈強なリズム隊を組む故Phil Kennemoreの堅実なリズムで出しゃばらず音数に頼らないが魅力あるフレーズが印象的。
その的確で献身的な演奏にも注目でございます。
バンド自体が作曲者としてクレジットされる事が理解出来るものでもございます。
(King Crimsonや現行Deep Purple同様、「原曲を誰が提供した事が重要ではなく、完成した楽曲にどれだけ貢献しているか?が重要」という姿勢が伺え、バンドの結束の強さも伺えるものでございます)
メジャー契約で(決して大きくないものの)成功を収めた事による予算規模の拡大が感じられる録音でございますが、ライヴ感や躍動感、空間や隙間を非常に重視している事がミソ。
過剰なオーヴァーダビングを控えており、前作での(Max Norman特有の)加工品臭さのある音造りを避けた感がございます。
(但し、予算の限界が感じられる感も......................................)
それが功を奏した感があり、
一発勝負に強いバンドの強みが感じられるものでございます..............................
されど非常にハードでへヴィな音造りで、八十年代的な現代感を意識した感がございます..........................................
(全盛期YTでは一番のハードな音造りの感がございます..............................)
今作リリース後はNWOBHMに沸いた英国を中心に以前よりも好評を博し、母国米国ではチャートアクションが以前よりも良いものとなり底堅い人気を博す事となります。
されど一層の成功を求めるレコード会社はバンドのメロディアス面からくる器用さに注目しポピュラー化を強く求め、共作者として”Geoffrey Leib”(後のJeff Paris)をバンド側に提案。渋るバンドを説得。
Judas Priestの(特に米国での)成功の立役者でもある”Tom Allom”をプロデュースに起用。
音楽性の分岐点となる次作”In Rock We Trust”制作に乗り出す事となります.............................................................
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