【海外本物】蝦夷生計図説/定価49500円/アイヌ文化を伝える最高傑作180余年を経てここに甦える/正確な写生図に詳細な解説を付した蝦夷風俗画中の白眉

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蝦夷生計図説/定価49500円/アイヌ文化を伝える最高傑作180余年を経てここに甦える/正確な写生図に詳細な解説を付した蝦夷風俗画中の白眉
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蝦夷生計図説/定価49500円/アイヌ文化を伝える最高傑作180余年を経てここに甦える/正確な写生図に詳細な解説を付した蝦夷風俗画中の白眉
1990年31.5cm*46.5cm重さ約5.32kg資料用にもいかがでしょうか。
アイヌ文化を伝える最高傑作…180余年を経てここに甦える。
題言に「…百年之後、天下後世をして蝦夷の古態を見る事を得せしめんと欲し、
此図説を草創せり」とある本書は、アイヌの民俗史的知見を得るための最高の史料であることは、
今日だれしもが認めるところです。
イナヲの部 「木幣の部」木幣(イナウ)の作り方・種類・用途・用法など
トイタの部 「耕作の部」農作業の過程、栽培植物の種類など/食物の貯蔵・調理、食事の様子など
チツフの部 「造舟の部」舟造りのための儀礼・製作過程、舟の諸部分など/舟の完成に伴う儀礼・舟の走行方法、舟の種類など
アツシカルの部 「衣服の部」衣服類の製作過程・種類など
チセカルの部 「居家の部」住居造りの過程、住居の諸様式、付属構築物など
ウカルの部 「刑・祓いの部」戦闘・闘争、社会規範、刑具の種類、祓い清めなど
解説者のことば
寛政十一年(一七九九)正月、幕府は松前藩に対し、東蝦夷地の浦河より知床までの上地を命じ、 次いで同年六月には知内より浦河までをも手中に収め、太平洋沿岸の一帯を直轄地とする経営に乗り 出した。
これは、異国船出没による海防上の見地から、従来、手薄となっていた蝦夷地の警備を主眼とする ものだったが、同時に在住や八王子千人同心を移住させ、開拓を推進すべく企図されており、それに 併わせ、住民を教化するという名目によって、アイヌを和人に馴染ませるべく、風俗をも変えさせよ うとする方針が立案されており、それは、アイヌの習俗に対する事実上の干渉でもあった。
先ず手初めは、名前を和名に改める。男子の髪形を変え、月代させる。有夫の女子が顔や手 るのを悪い因襲ときめつけ、さらにはメッカ打(哀悼儀礼)、イオマンテ(熊送り)等は、惨酷な悪風 だとして制禁するまでに至った。
これらの動きを側面から捉え、アイヌの良俗を破壊するものとする危機感を抱いた幕吏がいた。普請役雇の村上島之允(秦憶麿)がそれである。
島之允にとって蝦夷地は曽遊の地であった。寛政十年には近藤重蔵に随行してクナシリ島まで赴き、其後も引続いて蝦夷地在勤となっていたので、サルモンベツでは長老のヤイバルを識り、ソウヤでは有力者のオタトモンクルなどから、アイヌの文化を教えられ、その意義に共感したことから『松前考』を著わし、次いで大著『蝦夷島奇観』を編述することによって、失われようとするアイヌの習俗を描き、後世に伝えようとした。その序文に〈去年(寛政十一年)の春、公の命ありて、教育頻々たるか故に、毛夷等や、服せるに似たり。故に其旧来の形容および産業の器物、見ぬ人の為にもと聊小録して......〉(初稿)として執筆の動機を述べており、さらに細叙の目的から『艦腑臍漁図説』(文化二年成)、『鬚髪之図説』を著わし、なおも木幣(イナヲ)、居家(チセカル)等を分類する図説の執筆に着 手したが、文化五年(一八〇八)に病歿し、未完の儘で挫折するに至った。 門人の間宮林蔵は、これを惜しみ何とか継続しようとしたが、地図の作成に追われて中途で止め、空しく十四年の歳月を経た。しかし、島之允の養子となった村上貞助は、文化七年より文政四年にかけて蝦夷地在勤の経験を有し、文筆の才があり、画を善くしたこともあって、島之允の希求した図説を完成するには、貞助が適任だとし、それを命じたのが勘定奉行、遠山左衛門尉(景晋)であった。
景晋は、寛政十一年の蝦夷地見分に、島之允とシャマニまで行を共にした人物で、島之允とは親友の間柄で、その著『未曽有之記』によれば、当初から島之允に図説の執筆を捲適した理解者でもあったのである。
文政六年(一八二三)、貞助により『蝦夷嶋図説』が成り、題言を加え、『蝦夷生計図説』として完 成した。この図説は、島之允、林蔵、貞助の三者により約二十年の歳月を要した労作だが、それは、 飽くまで写実を重んずる貞助の特徴が認められるだけでなく、殊に貞助の在勤地が、主としてクナシ リ・エトロフ両島であったので、太平洋岸のコタン (村)は、往返の都度に立寄る機会が多く、アイ ヌの人々との接触を重ねたことから、その習俗についての見聞を深めるに至った。従ってその図柄は、 アイヌ文化誌として最高の水準にあることは、敢えて贅言するまでもない。この類本は、これまで『アイヌの世界』(泉靖一編)、『日本庶民生活資料集成 第四巻 北辺篇』(高 倉新一郎編)などに、一部または全体が収録されてはいるが、底本となすべき貞助筆本の復刻は、こ れまでの目をみるにまでに至らなかったのである。
いまヨーロッパでは、ボン大学日本研究所を中心にアイヌ関係コレクションの調査が進められており、アイヌ文化への関心が高まりつつある現状に鑑み、『蝦夷生計図説』が刊行されるのは、きわめて意義深く思われるのである。
はじめに
昭和八年九月十五日発行の犀川会資料第十八号に、『蝦夷産業図説・イナヲの部』が「イナウ概論」 (河野広道)を附して翻刻されている。その解説(高倉新一郎)に秦一貞の題言(部分)が引用さ れており、これに拠って「蝦夷産業図説』が文政六年(一八二三)三月の成立で、村上島之允(秦槍魔)の養子、村上貞助秦一貞の編述であることが明らかにされた。
これは、明治八年に同じ書名のものを、開拓使編輯課の金三穂(権少主典)が北海道史料として 書写したとき、「何人ノ著ナルヲ知ラス。北海道著述中ノ最モ珍稀ナル者ニシテ世多ク之ヲ見ス......」 と跋文を加え、著者未詳としていたものが、前記の解説により明確となった訳だが、その八冊にま とめられたもの以外に、「脳胸臍之部」や『蝦夷鬚髪図説』の存在するところから、高倉氏は「なお 別に若干の原稿があり、若しくは、増補の努力がなされたのではないか」という問題提起をされている。
これらは『蝦夷産業図説』という書名だけでなく、『蝦夷常用集』、『蝦夷雑誌』、『野作記』、『蝦夷画帖』、『蝦夷風土記』、『蝦夷嶋図説』、『蝦夷生計図説』等の書名を羅列するにとどまり、一体どれ
が原本なのか捉えどころのない多様な異称が絡み合い、それに加え、村上島之允と村上貞助との具体的な関わりが、一貞(貞助)の記す題言のみでは解明できず、しかも書誌の面においても明確に分析されていないところから、なお多くの疑問を残したものといえよう。
『蝦夷生計図説』がアイヌ民族を描いた最もすぐれた資料として認められながら、これまでその全容を正しく複刻または翻刻されることなく、試行錯誤の繰り返しに終っているのも、ゆえなしとしない。敢えてここに例示する迄もなかろう。
『昭和十五年三月、台湾愛書会発行の《愛書、第十二輯に『漂流台湾チョプラン島之記』が翻刻され、解説(山中標)の中で「編者・秦貞廉」の一章を設け、村上貞助の事績につき六頁にわたり言 及している。それは『蝦夷島奇観』を著わした村上島之允の養子となった貞助が、右の漂流記に「備 中州・案貞康」と記しており、後年に一貞と改めた旨を述べている。
要約すれば、村上貞助は備中の出身で、伊勢生まれであった島之允の養嗣子となり、 松前奉行支配下の蝦夷地に在勤した経験を有し、『漂流台湾チョプラン島之記』、『東韃紀行』、『蝦夷 生計図説』等を著わし、弘化三年五月十五日に没したとあるが、享年は未詳とされる。
これらの引用やや長きに失したが、右の解説は、台湾総督府図書館長として著名な書誌学者であり、且つ他の書誌学者よりも側面から多くの示唆が寄せられるなど、当時における貞助の事蹟に関 する最もすぐれた論稿であること、しかも、文助の漂流談に力点を置くことから、これを凌駕する 程の論文もないので、貞助の業績を評価できる材料として、一応採りあげてみた。
なお、山中標氏の論文に引用された『清俗紀聞』の著者は、島之二と因縁深い中川飛騨守(初称 勘三郎)であり、また、川北本というのは、伊勢国朝明郡川北村(現・四日市市)に住む本草学者 丹波修治の旧蔵であることを示す蔵書印の一川北文庫」を指す。山中氏が詮索していた時点では、そ れが未詳とされた伝になっていた。
昭和四十八年刊『アイヌ絵集成』(高倉新一郎編)の解説では、「伝記についても不明の点が多い」 としており、貞助の伝記として未だに纏ったものがないというのが実情といえるだろう。
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