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Mobile Fidelity Sound Lab社製SACD仕様盤でございます。
Mobile Fidelity Sound Lab社は現在主流のフラットマスタリング方式の先駆者でございますが、アナログ的な音質を指向しており、非常に良心的な音質となっております。
アナログにせよ、CDにせよ、SACDにせよ、ハイレゾにせよ、マスターテープの再現が一番重要な事でございます。
ここ近年オーディオファンから「マスターテープを一番再現していたのはアナログ盤ではなかろうか?」との指摘が挙がり、嘗ての名マスタリング・エンジニア故George Marino等が手掛けた昔のアナログ盤が高値で取引されるここ昨今。
されど、こちらにはスクラッチノイズはございませんが..............................
内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い。Miles Davis(Trumpet)、Herbie Hancock(P)、George Coleman(Sax)、Ron Carter(B)、Tony Williams(Ds)となります。
1964年2月12日アメリカ・ニューヨーク”Lincoln Center for Performing Arts:Philharmonic Hall
”での実況録音からの抜粋となります。
但し、1966年1月17日リリースがミソでございます。
メンバー交代を繰り返し、新しいジャズの模索を続けたMiles Davis。
傑作”Seven Steps to Heaven”制作中に若手の名手Herbie Hancock/Tony Williamsを迎えた事が大きな刺激となり、そこから得られた音楽的成果に満足したMiles Davisはラインナップを固定。
そして、その成果を基にライヴで更に発展させようと試みた時期の貴重なライヴ録音でございますが、そもそもは”My Funny Valentine”というライヴ盤が先に存在。
当時のアナログ盤の収録時間の限界から外された録音がございましたが、その”My Funny Valentine”の好評があり、続編制作されたものでございます。
(この後サックス奏者が非常に流動的となり、後任のSam Rivers、そして名手Wayne Shorter加入後のライヴ録音が残されております。ライヴでの成果を残しておこう、その後のスタジオ作品制作の参考として録音された感がございます)
続編とは言えど非常に充実した内容で、非常にスリリング。演奏・アンサンブルが非常に引き締まったもの。
後に「贅肉を削ぎ落とす様に編集する」と故Joe Zawinulに評されたMiles Davisでございますが、ライヴでもバンドに音楽的な無駄は許さないという姿勢が強く感じられるもの。
演奏技術的には他に超えるミュージシャンがおられますが、オーガナイザー/アレンジャー/音楽的主導者としての孤高の存在である事が感じられるものでございます。
黄金のクインテット前ではございますが、既に土台は完成という段階。また当時の若手Herbie Hancock/Tony Williamsのこのクインテットに賭ける想いが強く感じられ、野心と向上心溢れる意欲的演奏は非常な聴きもの。
その反面、Ron Carterは個性を出しつつもバンド・アンサンブルを繋ぎ止める感があり、非常に興味深いものでございます。
後にWayne Shorterが加入し”黄金のクインテット”が完成する事で評価としては肩身の狭い思いをしている名手George Colemanでございますが、非常に出来の良いもの。
但し、音楽的保守感が感じられるもので後の離脱を予見させる感がございます。
”黄金のクインテット”への橋渡し的な感のあるライヴ作品でございますが、非常に充実した内容。歴史的変遷ドキュメント感も加わったライヴ盤でございます。
このクインテットの出来にMiles Davisは非常に満足したものの、名手George Colemanがあっけなく離脱。
後任にSam Riversを迎え
来日公演含め活動を継続するものの、
以前から目を付けていた”Art Blakey the Jazz Messengers”の名手Wayne Shorterが非常に気に掛かっていたMiles Davis。
更なる音楽的革新を求め「古いジャズなんて演ってないで俺と一緒に新しいジャズを創造していこう」とWayne Shorter引き抜きを画策、加入させる事に成功致します。
ここでかの”黄金のクインテット”が完成。ライヴ活動に大きな成果と刺激を得て制作に乗り出し大傑作”ESP”を完成させますが、時代はロック音楽の台頭という時代。
また、今作録音時期には三種ラインナップのライヴ録音が残され、いずれも非常に秀悦な出来。
Miles Davisは過去のものと捉えていた模様でございますが、非常に評価の高い演奏・アンサンブルや録音の優秀さという事もあり、レコード会社はそのリリースに執着。
音楽創造のインターバルが設けられる事となります(ここがMiles Davisのかの私生活問題に絡んでくる感が............................)。
「何故、若者はロック音楽にあれ程熱狂するのか?」と嫉妬交じりに興味を示し、基礎創作面を若手二名やWayne Shorterに委ね、徐々にMiles Davisはロック音楽に接近を図っていく事となります....................................
そもそも非常に録音の良いライヴ盤。
この時代のライヴ録音(特にロック系)に良いものはない、との指摘がございますが、こちらは驚く程非常に優れた録音。(当時はクラッシック音楽専用であった)収録会場の特性を生かした感がございます。
また当時の録音技術の有り方から録音テープのヒスノイズが聴かれる面がございますが、反面そのテープ録音時代特有のマジックが感じられるもの。
非常に興味深いものがございます....................................................
この機会に是非。
注:発送方法は変更になる場合がございます。宜しく御願い致します。