またKal SwanはNWOBHM中期にかの名バンドAngelwitch人脈で知られる”Tytan”のヴォーカリストとして表舞台に登場。 かの”Polydor”との契約を得、デビュー制作に勤しむもLes Binks(Ds、ex-Judas Priest)が制作中にギャラの問題で離脱。 Simon Wright(ex-AⅡZ、後にAC/DC、Dio)を加入させ完成させるものの、 12インチ盤リリースのみで契約解除(後に再販レーベルよりリリース)の憂き目に遭い、あっけなく解散。 Mark Edwardsからのアプローチに乗り、既にシーンの中心が米国に移行した英国に見切りを付けL.A.移住を決意、となります。
盤共に非常に状態の良い中古でございます。
表記はございませんがリマスターが成されている模様。音量と立体感重視ではございますが、非常に良心的な音質となっております。
(但し、初期の”Protools”を使用した模様。無慈悲な楽曲分割が玉に瑕、でございます...............................................)
また、世界500枚限定がミソでございます.............................
内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い、Mark Edwards(DsPer、B-vo、ex-Steeler)、Kal Swan(Vo、ex-Tytan)、Doug Aldrich(G&B-vo、後にHurricane、House of Lordsセッション、Burning Rain、Whitesnake他)、
Jerry Best(B、B-vo、
後にFreaks of Nature)
となります。
ゲストとしてPat Regan(Key、後にプロデューサーとしてKeel、Deep Purple、Blackmore's Night等手掛ける)、コーラス隊の参加がございます。
プロデュースはバンド自身、エンジニアはかのBill Freesh(Black Sabbath、Loudness等手掛ける)となります。
そもそもはMark EdwardsとKal Swanとの邂逅から始まるバンドでございます。
テキサス州出身の名手Mark Edwardsは活動拠点をL.A.移行後にかのRon Keelと”Steeler”を結成。
ファンジン、アンダーグラウンド界隈で非常に注目を浴びていたスウェーデン在住のかの名手Yngwie J.Malmsteenの加入を画策する事となります。
されど当時Yngwie J. Malmsteenは事実上の引き籠り状態にあり米国入国管理局から就労ビザの許可が下りず、大卒でもあるMark Edwardsは管理局に「文化的に非常に重要な価値がある」
と一計を案じ折衝。
(その後の米国中心としたハイテク・ギタリストブームの経済効果等々を鑑みれば見事な判断)
何とか許可を得てL.A.に呼び寄せ加入させ作品を制作するもそれぞれの音楽性等のソリが合わず、数回のライヴにて崩壊の憂き目に.......
その後”M I”で教鞭を取りつつセッション・ワークに勤しむ傍ら、
自己のリーダーバンド結成を画策する事となります。
NWOBHM中期に登場した英国の”Tytan”の音源を聴いたMark EdwardsはKal Swanにアプローチ。L.A.で新バンド結成を持ちかけます。
またKal SwanはNWOBHM中期にかの名バンドAngelwitch人脈で知られる”Tytan”のヴォーカリストとして表舞台に登場。
かの”Polydor”との契約を得、デビュー制作に勤しむもLes Binks(Ds、ex-Judas Priest)が制作中にギャラの問題で離脱。
Simon Wright(ex-AⅡZ、後にAC/DC、Dio)を加入させ完成させるものの、
12インチ盤リリースのみで契約解除(後に再販レーベルよりリリース)の憂き目に遭い、あっけなく解散。
Mark Edwardsからのアプローチに乗り、既にシーンの中心が米国に移行した英国に見切りを付けL.A.移住を決意、となります。
当時L.A.を活動拠点としていたかのJohn Sloman(Vo、ex-Lonestar、Uriah Heep、後にGary Moore/Paul Youngツアーメンバー他)との接点があったMark EdwardsはKal Swanと共に
既に拠点を移していたその
英国通受け名バンド”Lonestar”のギタリストだったTony Smithのプロジェクト”Lyon”と合流。
新体制となりバンド名を”Lion”と変更する事となります。
”Tytan”を手掛けたWil Reid Dick(Thin Lizzyの”Last Life”等手掛ける)や
Mark Edwardsの”M I”人脈から当時はジャズ/フュージョン系としても知られた名手故Ronnie Montrose(ex-Montrose、
Gamma、Tony Williams等)を
プロデュースに起用し
デモ制作(後に日本のみで作品化)を行うもレコード会社は興味を示さず、ラインナップは流動的と化しTony Smithは離脱する事となります。
(後にTony Smithは”Lyon”名義で再びバンド結成し、英国界隈で活動の模様)
残されたEdwards/Swanは紆余曲折の後にDoug Aldrich、Jerry Bestを獲得し、ラインナップが固定。本格的に活動する事となります。
Atlanticの資金を得てかのDuane Baron(Ozzy Osbourne、L.A.GUNS、Dream Theater等手掛ける)のプロデュースにてデモを制作(後に日本のみで一曲作品化)するも契約には至らず、
またCBSからのアプローチも同様の結果となるも、
かの”Survivor
”で知られるScotti Brothersが契約に乗り出し、デビュー作制作に乗り出す.................................という非常に面倒な経緯がございます.................................
(但し、今作の内容に反して非常な安普請制作だった模様。ドラム録音にも手間取る程の制作スタジオの狭さ..................ここに金銭に絡むマネージメント問題がある感が......................................)
正直、愚直なまでに正統系でメジャー感のある洗練されたメロディアスさを伴うハードな音楽性でございます。
英国系且つ正統系L.A.Metal系の音楽性を融合した感のある音楽性で非常に英国的な叙情性を強く持ち合わせており、また洗練度が非常に強く大人向けではあるものの色彩感が強いメロディ感覚があるというもの。
非常にメジャー感があり、クラブ規模というよりはホール/アリーナ規模を想定したスケール感のあるもの。
演奏アンサンブルも非常な纏まりを見せており、演奏個性が非常に調和が取れたもので非常に躍動感に溢れたもの。コーラスも非常に印象的。
楽曲も非常に練られたもので展開の有り方もスムースで自然、
L.A.界隈での登場であるものの非常に希少な音楽性を誇るバンドでございます。
また(安普請で制作スタジオの狭さが問題になったものの)音質の良さもミソでございます。
演奏個性もなかなかのもの。
名手Mark Edwardsは言わずもがなでございますが、初の本格的なレコーディングとなるDoug Aldrichのソロワークは見事なもの。
若干素人臭さが感じられますが(.........そもそもDoug Aldrichの個性の感....)、
八十年代的なハイテク感を生かしつつメロディアスさを基とした組み立ては見事で(正確なピッキングも加え)後の活躍が伺えるもの。
独特で音楽性共に素人臭さがあった”Tytan”に比べ
Kal Swanのヴォーカルはこの非常にプロ的な音楽性で水を得た魚の如く非常に伸びやかで力強いもの。
非常な意気込みが感じられるものでございます。
Jerry Bestはコーラスワークでの貢献が目立ちますが、フレーズのセンスも良いもの。安定度があり、個性が強めのラインナップでそれぞれの個性を繋ぐという感のあるもの。
かのLed Zeppelinの名手John Paul Jones曰くの「自分まで個性を強く出してしまえばバンドの音楽が崩壊するから、一線を退いて個性を出していった」という感覚が伺える感がございます。
(何処となくかの”Duran Duran”や”Powerstation”の名手John Taylorと似た演奏感覚の感が.................................)
ゲストではございますが後にプロデューサーとして名を馳せるPat Reganのキーボードワークにも注目。
オーケストレーション演奏ではございますが、包み込む感覚があれど空間を広げスケール感を加えバンドの演奏・アンサンブルを立てる演奏は見事。
八十年代特有の異様で過剰な煌びやかさは音質共に上手く抑えられており、(ハイテク感はございませんが)センスの良さとプロデューサー感覚が感じられる演奏でございます。
但し、同じNWOBHM出身の”Def Leppard”の名曲”Photograph”や初期”Whitesnake”の名曲”Ready'n'willing”、Ratt”Round and Round”等々のネタが登場したり、
本格的なレコーディングは初となるDoug Aldrichのリフワークがちと単純過ぎる、
コーラスの要たるJerry Bestのベース演奏がちと弱い、
Kal Swanのヴォーカルは声量があり非常に安定しているものの声域が中低音中心でメロディ面の色彩が限られる(ちと大雑把気味の表現力も.......)、
また名手たるMark Edwardsがシンバル捌き等ではそれが感じられるものの演奏が抑え気味で楽曲によってはツーバスの高速キック等大暴れしていれば(これはバンドの音楽性やJerry Bestに配慮した感が..........)、
またMark Edwardsが師と仰いだ名手故Cozy Powellや名手Simon Phillipsの様に個性を強く打ち出していれば......................................
という感がございます。
(Mark Edwardsは手数系ではございますが、案外ストレートな演奏をする名手。
セッション系
ではあるもののかの”M I”で教鞭を取る講師でもあり、音楽性や楽曲の有り方に配慮した演奏感がございます.......................
)
細かいパーツの問題で契約が結ばれなかった感が確かにございますが、メジャーとなれば共作者起用等々で何とかなるもの。
ここにこのバンドに常に付きまとった金銭に絡むマネージメント問題が見え隠れする感がございます.....................................
(またシングルカットが”Powerlove”だった模様でございますが、正直華やかな感のある”Death on Legs”を選択しておけば.............との感も.........................................)
ボーナス楽曲は、かのTVアニメーション版「トランスフォーマー」の主題歌。
正直安普請での制作の感がございますが、案外出来が良いもので結構練られた楽曲。
後の「トランスフォーマー」の映画展開とか大ヒットを考慮すると、何かねぇ..............何とかならなかったのかねぇ.....という感がございます.............................................
これだけの傑作を制作リリースすれど時代はスラッシュメタル全盛期そしてグランジ/オルタナの息吹が聞こえると言う時期。
シーンに興味はなく、おまけにマネージメント問題に絡む契約問題から活動は非常に限られたものとなり、今作のみで契約解除。
また不本意ながらも前述のデモ録音が日本のみでリリースされ好評を呼ぶものの活動はままならず、米国独立系レーベルよりデモ楽曲再アレンジ+新曲という隠れ名盤2nd「Trouble in Angel City」を制作。
日本公演を行ない好評を得るものの状況は好転せず、契約問題が絡み解散の二文字がバンドに圧し掛かる事となります................
そしてモトクロス事故による名手Mark Edwardsの重傷そしてミュージシャンとしての道を断念。様々なビジネストラブルを経て解散。
Swan/Aldrichは”Bad Moon Rising”(名前のセンスが何だかねぇ...............)結成し音楽性を変化させつつ三作制作。
その解散後はKal Swanはマネージメント業に、Doug Aldrichは”Burning Rain”を結成そしてかのDavid Coverdaleからのアプローチから”Whitesnake
”に参加云々とバンド唯一の活動経歴を誇り、
Jerry BestはMike Trampの新バンド”Freaks of Nature”の結成に参加。
名手Mark Edwardsは表舞台をひっそりと去る事となります......................................
バンドの解散は免れなかった模様でございますが、(件の事故がないとの前提ではございますが.....)”Edwards/Swan”体制が継続出来ていれば..........という感がございます。
似た時期に”Steeler”同僚のRon Keel率いる”Keel”より音楽性のメロディアス/ポピュラー面をになった感のある名手Marc Ferrariが脱退。
後に隠れ名バンド”Cold Sweat”を結成致しますが、この名手Marc Ferrariがこの”Edwards/Swan”体制に合流していれば.......................との感がございます.......................................
正直、(バンドや音楽性、作品共に)もう少し早く登場していれば.................................という感がございます..........................................................
現在では入手が非常に困難。この機会に是非。
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